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【第2回】初学者はなぜ,心電図を苦手と感じているのか?

 

 

みんなの心電図

〜非専門医のための読み方〜

 

第2回 初学者はなぜ,心電図を苦手と感じているのか?

 

 

前回書いたように,多くの人が心電図を苦手としています.
これはなぜでしょう?
具体的な理由として次のようなものが考えられます.

 

 

① 心電図が12誘導も誘導の種類があるので
  どの誘導から読めばいいのかがわからない(読む順番がわからない

 

② 診断名と解説を併記したような辞書的専門書を眺めることを繰り返しても,
  自分が遭遇した心電図の解釈に結びつかない

 

③ 心電図異常からなんとなく診断できたとしても次の処置に繋がらない

 

④ 心電図のよくある異常パターンの解釈が勉強不足

 

⑤ 電気生理学の基礎的知識をつなげられればとは願うが,
  基礎の本が難しすぎて読めない(読めても覚えられない)

 

⑥ 心電図所見から得ることができる情報が多すぎて
  決定的な取りこぼしをしているのではないかという不安に駆られてしまう

 

 

心電図読影に対しては,私自身も,波形を眼で捉えるという意味では,
非常に感覚的な印象をはじめは持っていました.
実際に「眼が慣れる」という経験値はばかにできませんが,
やみくもに心電図と向き合っても実力は向上しません.

 

では,成書に載っているクライテリアなどの基準値をがむしゃらに覚えれば,
実力がつくのかというと,知識が広いこと自体は素晴らしいですが,
すべてがカバーできるわけではありません.
そもそも○○クライテリアと名のつく基準には
特異度,感度が示されているように
基準そのものが産まれた時点から
絶対的なモノサシ(すなわち感度100%,特異度100%)ではありません.

 

次に,もっと本質・基本から勉強しようとする人もいるでしょう.
心臓の電気の流れがどのように波形に現れるのかということを調べる学問を
「電気生理学」と呼びます.

 

心電図波形は心臓の電気的活動から成り立っているため,
電気生理学を学ぶことは心電図の理解につながることは確かです.
ただし,電気生理学の知識を1から10まで身に付けるには相当の根気と時間を要します.

 

本連載では,心電図読影に必要な部分を頭の疲れない範囲で取り入れてあります.
実は電気生理学の基礎部分を少し知るだけで,心電図読影への理解は一気に深まります.
そもそも心電図は臨床判断を行うための道具です.
解釈するだけではなく,その心電図をみたら実際どう動くのかという
アクションに繋がらなければ意味がありません.

 

本連載では,実臨床に即して「症状からのアプローチ」や
「治療方法からのアプローチ」も交えることで,
読者の皆さんの心電図にまつわる有機的な思考を育てることを目標としていきます.

 

今回のまとめ
●心電図読影は少しだけ電気生理学を学ぶことで飛躍的に上達する
●波形の解釈を学ぶだけではなく,症状や治療と思考を有機的につなぎ合わせて「読影脳」をつくろう

 

 

 

著者:Dr. ヤッシー
内科医.心電図読影へのあくなき探求心をもち,
循環器非専門医でありながら心電図検定1級を取得.
これまでに得た知識・スキルを臨床現場で役立てることはもちろん,
教育・指導にも熱心.若手医師でなく,
多職種から勉強会開催の要望を受けるなど,頼られる存在.

 

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