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【第23回】速読式 心拍推定

 

 

みんなの心電図

〜非専門医のための読み方〜

 

第23回 速読式 心拍推定

 

 

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今回から不整脈シリーズです.
第3回の記事(心電図でわかること,わからないこと)で,
心電図に「しかわからないこと」として不整脈を挙げました.
心電図が診断に最も威力を発揮する疾患ですので,

不整脈の読影をしっかり身に付けましょう.

 

「脈(心拍)が速い,遅い」というのは
正確には“ディバイダー”という心電図定規をあてがって
判定することができます.

 

しかし,そのような悠長なことしているのでは
数十秒程度という時間で1枚の心電図を読めません.
またパッと目にした時の“不整脈らしさ”を拾う技術というのは
読解を進めるうえでとても有用です.
ここでは「心拍数の推定」と「QT延長の有無(第24回)」の
2つの推定方法を紹介いたします.

 

まずは世の心電図がどのような規格で記録されているのかを知りましょう.
基本的にこれは日本全国共通で同じ規格で,
送り速度(25mm/秒)と決まっています.

 

記録用紙は細い線と太い線が描かれた方眼紙になっています.
細い線は1mm間隔で描かれており,
時間に換算すると0.04秒(40ミリ秒)で,
これが最小単位(1目盛り)となります.
太い線は5目盛りごとに描かれており(1マス=5目盛り),
1マスは5mm間隔で,時間に換算すると,
0.04秒×5=0.2秒(200ミリ秒)となります.

 

 

 

ここから,1分は,60秒÷0.2=300マスと計算されますね.
R波1個が1心拍と考えると,
「1分間(300マス)にR波が何回出現しているか」
から心拍(HR)が推定でき,
RR間隔がΔマスのときの心拍は,
推定HR(回/分) = 300÷Δ」という関係式が成り立ちます.

 

 

これを利用して目の前の心電図が

頻脈(100回/分以上)か,
正常範囲(50-100回/分)か,

徐脈(50回/分

を判断します.

これにしたがって計算してみるとRR間隔が
1マス間隔では300÷1=300回/分 , 2マス間隔では300÷2=150回/分 ,
3マス間隔では300÷3=100回/分 ,4マス間隔では300÷4=75回/分 ,
5マス間隔では300÷5=60回/分 ,6マス間隔では300÷6=50回/分となります.

 

では割り切れない間隔,例えばRR間隔が3.5マスであれば
どのように考えれば良いのでしょうか?

 

この場合,3マス~4マスの間にあるという情報に
注目できれば良いと考えます.
すなわち読解の初期において知りたい情報は
○○回/分という正確な値そのものではなく,
「ざっくりとした脈拍とそれが頻脈または徐脈に相当するのか?」

という判断だからです.

例えばこの場合は3マス~4マスの間であるので
75-100回/分程度なので正常範囲にありそうと推定するのです.
初めのうちはこの関係式を繰り返し確認するとよいでしょう.

 

しかし,頻繁にこの確認をしていくうちに
このマス数ごとの心拍を暗記してしまう方がさらに早いことに気が付くでしょう.
「1マス→300,2マス→150,3マス→100,4マス→75,5マス→60,6マス→50」
といった具合です.

また頻脈(100回/分以上)をマス目で置き換えると
RR間隔で3マス未満ということになりますし,
徐脈(50回/分未満)をマス目で置き換えると
6マス以上ということになります.

 

 

ちなみに,冒頭で紹介した“ディバイダー”という器具は
図のような,一見コンパスのようなものです.
心拍を正確に測るときや,パッとみただけではわからない
RR間隔の変動の有無を調べるとき(心房細動の診断など)に使用します.

 

 

 

今回のまとめ
●心電図記録用紙:細い線(1目盛り)は1mm間隔,0.04秒(40ミリ秒), 太い線(1マス)は5mm間隔,0.2秒(200ミリ秒)
●推定心拍(HR/分)=300÷Δマス(RR間隔)
●RR間隔が3マス未満は頻脈(100回/分以上),6マス以上は徐脈(50回/分未満)

 

 

 

著者:Dr. ヤッシー
内科医.心電図読影へのあくなき探求心をもち,
循環器非専門医でありながら心電図検定1級を取得.
これまでに得た知識・スキルを臨床現場で役立てることはもちろん,
教育・指導にも熱心.若手医師だけでなく,
多職種から勉強会開催の要望を受けるなど,頼られる存在.

 

 

→【第24回】速読式 QT延長推定と基礎疾患

 

 

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–「みんなの心電図」目次–

【第1回】連載のコンセプトと自己紹介
【第2回】初学者はなぜ,心電図を苦手と感じているのか?
【第3回】心電図でわかること,わからないこと
【第4回】近づく電気,離れる電気
【第5回】電極のつけ方と基本波形
【第6回】P波はⅡ誘導とV1誘導を見よ (刺激伝導系その1  心房の伝導)
【第7回】心房から心室へは1本道(刺激伝導系その2 房室結節の伝導)
【第8回】心室壁の高速道路と一般道 (刺激伝導系その3 ヒス-プルキンエ線維の伝導)
【第9回】心室壁はつっかえないように縮んで,伸びる(QRST波形理解の下準備その1)
【第10回】パッチクランプ法でみる細胞1粒の活動電位(QRST波形理解の下準備 その2)
【第11回】QRST波形の成り立ち(刺激伝導系その4 心室の興奮と弛緩)
【第12回】QRS波の胸部誘導でのグラデーションを感じよう 【第13回】心電図を確認する眼の動き
【第14回】冠症候群の診断は合わせ技1本
【第15回】心筋梗塞の心電図の成り立ち (1)T波増高
【第16回】心筋梗塞の心電図の成り立ち (2)ST上昇
【第17回】心筋梗塞の心電図の成り立ち (3)異常Q波
【第18回】心筋梗塞の心電図の成り立ち (4)冠性T波
【第19回】心筋梗塞の心電図は出る順番が大切
【第20回】心内膜下虚血の心電図 ST低下
【第21回】ST変化の鏡面像(Mirror image)
【第22回】冠血流域と誘導の対応関係
【第23回】速読式 心拍推定
【第24回】速読式 QT延長推定と基礎疾患
【第25回】頻脈の読影が心電図では最も難しい
【第26回】頻脈性不整脈の分類 (1)上室性と心室性
【第27回】頻脈性不整脈の分類 (2)上室性頻脈の種類

 

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