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【第7回】心房から心室へは1本道(刺激伝導系その2 房室結節の伝導)

 

 

みんなの心電図

〜非専門医のための読み方〜

 

第7回 心房から心室へは1本道(刺激伝導系その2 房室結節の伝導)

 

 

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心房は各細胞がつながりあってじわじわと電流が伝わると紹介しました(第6回).
つまり,心房内の電流の通り道は無数にありました.

 

しかし,心房から心室へと電流が伝わる段階になると
通り道は1カ所しかありません.
ここを「房室結節」とよびます.

 

外観上は,心房と心室は広い面でべったりと接続しているようにみえますが,
機能的に電流を通すことができるのはこの房室結節だけです.
発生の段階でここ以外の部分はアポトーシスし,
絶縁体(線維性組織)に置き換わってしまうからです.

 

 

今回は,房室結節における伝導の異常についても触れておきます.

 

もしも,発生の段階でアポトーシスがうまく進行せずに
伝導路が複数形成されてしまうと刺激伝導系に異常をきたします.
これがWPW症候群(ウォルフ-パーキンソン-ホワイト症候群)の病態です.

 

また,房室結節は本来,1本の通り道であるはずなのですが,
なかには通路の途中が分岐して,
ドーナツのようなサーキットを挟んで持っている人がいます(二重伝導路).

 

 

電流が速く伝わる経路をfast pathway
もう一方のゆっくりと伝わる方をslow pathwayと呼びます.

 

少し,ややこしくなってきましたか?
房室回帰型のリエントリーという救急外来でもよく目にする病気の理解には
どうしても避けられないのでもう少しだけ,お付き合いください.

 

房室結節に入った洞結節由来の電流はfast pathwayと
slow pathwayともに伝導していきます.

 

fast pathwayの電流は伝導が早いですから先に心室へ伝導します.
fast pathwayの電流はさらにslow pathwayを逆行性に伝わるのですが,
後からその名の通りゆっくり上から降りてきた
slow pathwayの電流ぶつかって相殺してしまいます
(互いの不応期細胞に伝導が飛び込んで収束します).

 

遠目にみると洞結節に入った電流は1:1対応で心室へと伝わっています
したがって洞結節から正常伝導を行っている間は特に問題はありません
(心電図上でも1本しか経路がない心臓と区別はつきません).

 

しかし,この2経路を有しているということが背景にある心臓では,
心房期外収縮など予期せぬタイミングで飛び込んでくる電流があると,
そのタイミング次第では複雑なリエントリーを起こし,
不整脈を引き起こしていくのです(詳細はいずれ説明いたします).

 

 

今回のまとめ
●心房から心室への電流の通り道は,「房室結節」の1ヵ所
●房室結節には2つの経路(fast pathwayとslow pathway)が存在する人がいる
●洞結節由来の電流であれば,心房からきた電流と心室へ伝わる電流は1:1の関係を保っている

 

 

著者:Dr. ヤッシー
内科医.心電図読影へのあくなき探求心をもち,
循環器非専門医でありながら心電図検定1級を取得.
これまでに得た知識・スキルを臨床現場で役立てることはもちろん,
教育・指導にも熱心.若手医師でなく,
多職種から勉強会開催の要望を受けるなど,頼られる存在.

 

 

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