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【第10回】パッチクランプ法でみる細胞1粒の活動電位(QRST波形理解の下準備 その2)

 

 

みんなの心電図

〜非専門医のための読み方〜

 

第10回 パッチクランプ法でみる細胞1粒の活動電位 

(QRST波形理解の下準備 その2)

 

 

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これまで心電図における波形の成り立ちを説明してきました.
これは大きな心臓の電流を体外に貼った電極から眺めたときの波形の話です.

 

一方,今回,お話しするのは固有心筋細胞を1粒とってきて
パッチクランプ法で細胞1粒の活動電位を記録した波形の話です.

 

これらは同じ「波形」でも全く違うものなので,区別してください
(これを混同している人が多く,それが心電図の理解が進まない1つの原因かもしれません).

 

心電図波形は,心臓全体の電気の流れを記録していますが,
この電気の流れは,隣り合う1粒1粒の心筋細胞の電位の差によって起こります.
そう,“電気は+から-へ流れる(第4回 ルール①)”です.

 

一方,細胞1粒の活動電位の波形は,

細胞内外の電位の差(いわゆる膜電位)の変化を記録したものです.

 

 

陽イオンが細胞内に流入したときには上向き(+)に記録され(脱分極),
このときに心筋細胞は収縮します.

 

 

陽イオンが細胞外へ流出したときには下向き(-)に記録され(再分極),
このときに心筋細胞は弛緩します.

 

 

 

 

心電図の波形は,誘導法(電極の位置)によって変わりますが,
細胞の活動電位波形は,基本的に同じです.

 

脱分極と再分極のタイミングの違いが,隣り合う細胞の電位差を生み,
心電図が記録する電気の流れを作っています(詳細は次回).

 

 

さて,両者の違いは理解いただけたでしょうか.
では,心筋細胞の活動電位の波形をみてみましょう.
波形の各部位を0~4相と呼んでいます.

 

より電気生理学を勉強したい方のために
 膜電位の変化に関与する主なイオンチャネルを示します.
 抗不整脈薬はこれらのチャネルに作用して働くため,
 薬理学をからめて学ぶ際には大切な知識ですが,
 日常診療で心電図を読むためには
 さほど必要な知識ではありませんのでいったんは忘れてしまいません.
 どうか小難しい日本語に勉強アレルギーは起こさないでくださいね.

 

 

今回のまとめ
●心室固有細胞1粒あたりの活動電位変化は0~4相に分かれる

 

 

著者:Dr. ヤッシー
内科医.心電図読影へのあくなき探求心をもち,
循環器非専門医でありながら心電図検定1級を取得.
これまでに得た知識・スキルを臨床現場で役立てることはもちろん,
教育・指導にも熱心.若手医師でなく,
多職種から勉強会開催の要望を受けるなど,頼られる存在.

 

 

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