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【第18回】心筋梗塞の心電図の成り立ち (4)冠性T波

 

 

みんなの心電図

〜非専門医のための読み方〜

 

第18回 心筋梗塞の心電図の成り立ち

(4)冠性T波

 

 

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心筋梗塞の心電図所見の最後は冠性T波を解説します.
今回も虚血による膜電位の変化と関連付けて理解しましょう.

 

心筋梗塞が生じると,壊死した部分だけでなく
周囲の心筋にも虚血の影響で障害が生じます.
障害された心筋細胞は電気的性質も正常心筋と比べて鈍ってしまい,
再分極相が遅延します.

 

再分極層が遅延することによって,
拡張期には,相対的に正常心筋がマイナス(-)
障害心筋細胞がプラス(+)となります.
したがって,電流は電極から離れていくことになり,
離れていく電気は下向きに記録されるため,
T波の陰転化すなわち冠性T波となります.

 

 

ちなみに,異常Q波はいったん生じると
正常に戻ることはないことを前回説明しました.
一方で,冠性T波の要因となる心筋障害細胞の電気的性質は
改善する場合(リモデリング)も,改善しない場合もあります
このため,冠性T波は陳旧性心筋梗塞の所見には通常含まれません.

 

今回のまとめ
●冠性T波は障害心筋の電流を見ている.
●正常に戻るかは経過次第.

 

 

著者:Dr. ヤッシー
内科医.心電図読影へのあくなき探求心をもち,
循環器非専門医でありながら心電図検定1級を取得.
これまでに得た知識・スキルを臨床現場で役立てることはもちろん,
教育・指導にも熱心.若手医師だけでなく,
多職種から勉強会開催の要望を受けるなど,頼られる存在.

 

 

→【第19回】心筋梗塞の心電図は出る順番が大切

 

–「みんなの心電図」目次–

【第1回】連載のコンセプトと自己紹介
【第2回】初学者はなぜ,心電図を苦手と感じているのか?
【第3回】心電図でわかること,わからないこと
【第4回】近づく電気,離れる電気
【第5回】電極のつけ方と基本波形
【第6回】P波はⅡ誘導とV1誘導を見よ (刺激伝導系その1  心房の伝導)
【第7回】心房から心室へは1本道(刺激伝導系その2 房室結節の伝導)
【第8回】心室壁の高速道路と一般道 (刺激伝導系その3 ヒス-プルキンエ線維の伝導)
【第9回】心室壁はつっかえないように縮んで,伸びる(QRST波形理解の下準備その1)
【第10回】パッチクランプ法でみる細胞1粒の活動電位(QRST波形理解の下準備 その2)
【第11回】QRST波形の成り立ち(刺激伝導系その4 心室の興奮と弛緩)
【第12回】QRS波の胸部誘導でのグラデーションを感じよう
【第13回】心電図を確認する眼の動き
【第14回】冠症候群の診断は合わせ技1本
【第15回】心筋梗塞の心電図の成り立ち (1)T波増高
【第16回】心筋梗塞の心電図の成り立ち (2)ST上昇
【第17回】心筋梗塞の心電図の成り立ち (3)異常Q波
【第18回】心筋梗塞の心電図の成り立ち (4)冠性T波
【第19回】心筋梗塞の心電図は出る順番が大切
【第20回】心内膜下虚血の心電図 ST低下
【第21回】ST変化の鏡面像(Mirror image)
【第22回】冠血流域と誘導の対応関係
【第23回】速読式 心拍推定
【第24回】速読式 QT延長推定と基礎疾患
【第25回】頻脈の読影が心電図では最も難しい
【第26回】頻脈性不整脈の分類 (1)上室性と心室性
【第27回】頻脈性不整脈の分類 (2)上室性頻脈の種類

 

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